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ヒュッゲの国から―デンマーク流人生の楽しみ方

ヒュッゲの国から―デンマーク流人生の楽しみ方
佐々木 勝 (著)
本の森 (2010/8/28)

うーむ。1年半の間、デンマークのフォルケホイスコーレ(国民高等学校と訳される)に留学していた著者が、自身の経験をもとに書いたデンマークの経験談。

残念ながら、学生の書く日記のような文体で(それも最近の若い人が使う文語としてはやや違和感のある言葉遣い)、だらだらと続く文章。必ずしもデンマーク人がどう人生を楽しむのか、深い分析はなされていない。

ただ、表面的には著者の見聞したことがらを淡々と書いているので、デンマークの雰囲気は感じられるし、それはそれとして資料として読者の感心を引く可能性はあると思われる。
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テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

tag : ★★

戦後史の解放I 歴史認識とは何か:

戦後史の解放I 歴史認識とは何か
─日露戦争からアジア太平洋戦争まで (新潮選書)
細谷 雄一 (著)
新潮社 (2015/7/24)

欧州の国際政治に軸足を置いた国際政治学者による、日本と海外の歴史認識の「ズレ」に関する議論。前世紀の重い歴史を引きずりながらそれを克服できない日本人として、一読の価値があります。著者と自分は大学の指導教授が同じ人なので、やや身内びいき的な感想になっているかも知れませんが。
著者も言うように、本書は先行研究に多くを負っており、各国の歴史認識の詳細については必ずしも十分・正確であるかどうか留意する必要があるように思いますが、むしろそうした枝葉末節を超えて、各国の当時における情勢認識の「ズレ」に焦点を当てて、なぜ日本は破滅的な戦争をし、今日にまで至る歴史問題という十字架を背負っているのかを描き出す視野を持ちうる日本人の研究者はあまり多くないように思います。そのオリジナリティーに価値を感じる一冊です。
中でも、1945年の日本の敗戦を招いた直接のきっかけであるアジア太平洋戦争の勃発以降の第二次世界大戦の歴史は一般の日本人の関心も高く(毎年終戦記念日の近くになると戦争を取り上げるテレビ番組などが増える)一般読者向けの書籍も多数出版されているのに対し、日露戦争以降、第一次世界大戦後の国際関係と日本の歩んだ歴史はやや一般の認知度が低いのではないかと思われる中で、特に満州事変までの国際関係を論じた第1章は読まれる価値が高いのではないかと思います。
安保法制など昨今の日本の外交防衛政策についての著者の立場は、いわゆる左派からは支持されないものだと思います。しかし、そうした人達にこそ、著者が主張する問題意識である広い視野から国際主義を理解する努力をしていただきたい、そう感じます。

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

tag : ★★★★

孫文

孫文
陳 舜臣
中公文庫

戦後70年。中国との間で歴史認識をめぐる対立がなかなか解けない日本ですが、こんな小説も歴史理解の一助になるかと思って読んでみました。

1904年の日露戦争、1912年、清のラストエンペラーが退位して中国の帝政が終わってから、1945年の終戦、1949年の中華人民共和国の建国。

特にこの間の日本と中国との関係は複雑で、自分もすらすらと歴史をたどることができません。

清帝国を倒し、共和主義を実現するために世界を飛び回った孫文という人の人生を小説という形で振り返るのは、歴史書を読むより手軽だし、登場人物に共感を覚えるのでより印象に残ります。

時々中国の人に指摘されることですが、清という満州族による支配を倒すために、多くの日本人が孫文を支援したことに対し、中国の人達の間に一種の感謝の気持ちがあります。現代の日本人の中に、そういう記憶がうすれつつあるのは残念なことで、こうした手軽に読める小説で、そうした過去が日本人の記憶に残るとするなら、素晴らしいことだと思います。

ただ、陳舜臣はこの小説を1912年に清が倒れ、中華民国が成立して孫文がその臨時大総統になったところで終わっています。孫文はさらに13年生きて1925年に死去しましたが、陳舜臣がそこまで小説を続けられなかったのは、その後の日中間の歴史を描くのが辛かったからだろうと想像します。

司馬遼太郎が「坂の上の雲」を日露戦争の日本海海戦で終わらせたのも同様の感情からだと思います。

その意味では、もう少し歴史を先まで学ぶために、この小説だけでは不十分と言うこともできると思いますが、それでも孫文という歴史に名を残す希有な存在がかつて存在し、日本とも浅からぬ縁を持ったということは改めて認識されてもいいのではないかと思います。

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tag : ★★★★

戦後70年談話の論点

戦後70年談話の論点
21世紀構想懇談会 (編集)
日本経済新聞出版社 (2015/8/8)

戦後70年の談話を考えるに当たって、安倍総理が専門家の方々に議論をお願いした「21世紀構想懇談会」。
その議論をまとめたという本なのですが、首相官邸のホームページで一応全部見られる内容です。議論の発言者も特定されていないし。ふーむ。これで3,000円ですか・・・画面でPDF見るより、本の方が読みやすいですが。
日本の歴史認識について、おおよその共通認識的なものを理解する上では有用だと思います。

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tag : ★★

脳はなぜ「心」を作ったのか

脳はなぜ「心」を作ったのか
「私」の謎を解く受動意識仮説
(ちくま文庫) 文庫 – 2010/11/12
前野 隆司 (著)

「私」や「心」とは一体何なのか。脳科学や心理学、科学哲学などに疎い自分には、本書のレベルの説明で十分に目から鱗です。

「指を動かそう」という意識より先に、実は「指を動かす」ための筋肉への指令が先に発せられているという実験結果(!)から説明を始めて、実は「私」という「意識」は、感覚を制御しているのではなくて、感覚に従属しているのだということを(正確には本書をお読み下さい)解き明かします。

「意識」とか「心」というものが科学的に説明しうるということは、人間以外の「心」がどうなっているかも説明できるし、神秘体験や霊魂といった現象も脳が作り出したものだということも説明できます。ロボットに将来「心」を持たせることも科学的に可能だということです。

心の原理が分かると、生き方・死に方も見えてきます。自分が生きた軌跡は、「子どもや教え子や世界の人々に思想として生きた証しを伝承することの方が重要」だという著者の主張が、強い説得力をもって心に訴えます。

この本の説明では不十分だったり、より専門的な視点からは問題があったりするのだろうと思いますが、一般の人が、文庫で手軽に得られる知識としては、この本で十分だと思います。

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tag : ★★★★

戦後日本外交史

戦後日本外交史
五百旗頭 真 (編集)
有斐閣; 第3版補訂版 (2014/4/11)

戦後70年の夏。国会での安保法制の議論は永田町のみならず近隣諸国にまで振動を及ぼす今、書棚の『戦後日本外交史』を改めて読んでみました。

手元にあるのは昨年発売された第3版ではなく、1999年の初版。やや古くなったものの、一般の人が戦後の日本外交を概観するにはちょうどいい一冊だと思います。

著者は、京大を中心とする関西系の国際政治学者たち。五百籏頭真が第1章と終章を担当。阪大の坂本一哉、慶應の田所昌幸、京大の中西寛と続いて、今は同志社の学長になった村田晃嗣は執筆時35歳。まだ若い各著者が、この教科書を読む若い読者を念頭に、思うところを生き生きと描いている好著です。

時代を追って、印象に残る部分を要約してみます。

戦争に負けてGHQに統治された日本は、軍備を持たず、アメリカに安全保障を依存しました。しかし、1952年のサンフランシスコ平和条約以前から、日本はアメリカとの集団的自衛の関係に入ることを企図していました。

1957年には、イラク革命が起こり、レバノンに国連監視団が派遣されて、日本も国連安保理理事国として、レバノンの領土保全に努力します。しかし翌年、国連事務総長が自衛隊にも10人の将校を派遣するよう要請したものの、これを断らざるを得ませんでした。

1960年には、日米安保条約が改訂され、アメリカが日本を守る義務があると明文化されました。しかし岸内閣への反発は安保騒動となり、条約の成立を待って岸内閣は退陣しました。岸内閣退陣後、安保反対運動は急速に熱を失いました。

その後、急速に経済発展を遂げた日本ですが、外交的にはアメリカから独立して行動できないことに、右翼(自主防衛を主張)も左翼(アメリカ帝国主義に反対)も、ともにもどかしさを感じていました。アメリカの庇護の下で、日本は「自らの責任と危険負担で独自の判断をして行動する能力を開発できなかった」のでした。

それでも70年代までは冷戦構造が継続して、「日本外交は根本的な自省を行なう必要性」に迫られませんでした。

80年代を執筆した村田氏は、アメリカが日本の復興を助けて日本はアメリカのライバルになった。しかしそれはアメリカの対日政策の失敗ではなく成功の証だったと言います。そして、同時に、中国が近代化に成功し、日本の経済的ライバルになることも、日本の対中政策の大きな成功の証であると考えたいと述べています。

こうして見ると、現在議論されている安保法制というのは、戦後の日本外交が常に意識し追求してきたものに他ならないと改めて感じます。それぞれの時代の制約の中で一歩ずつ進められて歩みを、安倍総理はさらに進めているだけと言えるかも知れません。そのことへの反発も当然大きいわけですが。というわけで、戦後の日本外交は、当初から現在に至る問題意識と目標を共有していたということが言えるのだろうと思います。

一点だけ、政治学者の書く本の欠点ですが、例えば1985年に円高ドル安を決めた「プラザ合意」の後の経済情勢として、「アメリカの大幅な貿易赤字は解消されず、むしろインフレが懸念された」とさらりと書いてあります。ドルが安くなってもアメリカの貿易赤字が減らなかったのはなぜなのか、通貨安でなぜインフレになるのか、事実をそのまま書いてその論理関係の説明を省くのはやや酷な気がします。それは経済学の領域だから政治史の本では説明が不要というものではなく、政治史においても当然理解されなければならない基本的な知識であるはずです。

とまれ、最新版をお盆のこの時期に読むのもいいのではないでしょうか。

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tag : ★★★★

帳簿の世界史

帳簿の世界史
ジェイコブ ソール (著)
文藝春秋 (2015/4/8)

Amazonの書評はそこそこ良いので期待して読んだらそれほどでもなかった。

帳簿の世界史と言いつつ、米国人の著者が取り上げるのはヨーロッパと米国のみ。原題はThe Reckoning、副題がFinancial Accountability and the Rise and Fall of Nationsなので、世界史という邦訳は誇張であるとしてもNationsに日本や中国や中東が含まれないのは罪が重い。邦題からは、個人あるいは財閥として富を築いたロスチャイルドやJPモルガン、ロックフェラーなどの財務についても知りたいと思う読者が多いと思われるが、当然それらは取り上げられていない。

また、帳簿や会計がどのように発展したか具体的に分かる表記がない。メディチやヴェネツィアが複式簿記を始めたとしても、なぜそれが決定的に重要だったか、会計学の知識がない読者が読んでも理解できないだろうと思われる。国家の財務に関するアカウンタビリティーが主題だとするなら、近年財政破綻あるいはそれに近い状況に陥った国の財政について詳述すべきだったと思う。アイスランド、アルゼンチン、ギリシャなど。

歴史学と会計学を専門とするという著者だが、ストーリーを書くのが上手なのか、村井章子氏の翻訳が上手なのか、あるいは専門的な内容に踏み込んでいないので読みやすいだけなのか、そんな辛口な感想を抱いてしまう。

敢えて一言でこの本の意図を表現するなら、明朗会計が国を繁栄させる。不正な会計は国を滅ぼす。そんな当たり前なことを著者は書いただけなのに、文藝春秋は邦訳に際し期待感を高めすぎたのかも知れません。

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tag : ★★★

職場のLGBT読本

職場のLGBT読本
「ありのままの自分」で働ける環境を目指して
柳沢正和 (著), 村木真紀 (著), 後藤純一 (著)
実務教育出版 (2015/7/22)

これまでLGBTに関する本は、セクシャリティーについての学術的な専門書や、法律や行政上の手続きなどのものが中心でした。こうしたLGBTと職場の問題に焦点を当てた本が出版されることは、ようやく日本でもLGBTが企業経営においても無視できない課題となってきたことを示すものだと思います。世界経済の60%を占める国々で同性婚が認められる現在、LGBTに無関心では企業活動も成り立たないというべきでしょう。

LGBTの人達が職場で抱える具体的な課題や、先進的な企業がそれらにどのように対応しているか、具体的な事例を実用書らしくイラストも交えて説明してあり分かりやすいです。著者3人の豊富な経験や人脈の成せる技です。企業のCSRや人事担当者にとって、必読の一冊となるでしょう。

人が本来持つ多様性、あるいはそこから生み出される多様な能力が社会や経済で活かされることによって、私たちがより豊かで幸せになることにつながればいいと思います。

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tag : ★★★★

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる
日本人への警告
エマニュエル・トッド (著), 堀 茂樹 (翻訳)
文藝春秋 (2015/5/20)

刺激的なタイトルの本です。今時の新書ってのはこれくらいスパイシーなタイトルじゃなきゃ売れないのかも知れません。
フランス人知識人によるドイツ脅威論というのは、よくある隣国への敵対心のようなものかも知れません。また、フランス人特有の大国意識が、経済的には自国より強国であるドイツへのライバル心をかき立てるのかも知れません。妄想と言ってもいいくらいかも知れません。

例えば、「ドイツというのは・・・人間存在の複雑さを視野から失いがちで、アンバランスであるがゆえに恐ろしい文化である」とか「日本の文化が他人を傷つけないようにする、遠慮するという願望に取り憑かれているのに対し、ドイツ文化はむき出しの率直さを価値づけます」とか。後者は3.11後の独メディアの日本を見下した偉そうな論説を思い出すと個人的にも納得できる部分があるんですが。さらに「ドイツ人たちは一般に思われているよりも柔軟なのです。ただし彼らは、率直で遠慮会釈のない交渉でなければ理解しません」なんてw

全編を通して、著者は欧州統一通貨ユーロに批判的です。確かに改めて調べてみると自分でもびっくりしましたが、戦後の仏フランは独マルクに対して一貫して切り下げを繰り返し、20世紀末にユーロ参加国通貨の為替レートが固定されるまで、フランは対マルクで4分の1に減価したのでした。それがユーロになってしまえばフラン安で輸出刺激なんてできなくなる。著者はそれが悔しいらしいw

それと、政府債務というものの捉え方について、お金持ちが安心確実にお金を貸せる相手として政府に借金させて、国債利子をがっぽり稼ぐ一方で、庶民は税金を取られてこんな不平等な制度はないと著者は訴えます。そういう見方も確かにあると思いますが、だからと言って政府はデフォルトして銀行を国有化しろという著者の主張は、結果的に国民のためになるのか疑問です。思考実験としては面白いけれど。

そういうわけで、日本人にとっても視野や思考の幅を広げる刺激的な内容であることは確かですが、慶應で仏文を教える掘教授の翻訳はいささかこなれていないように感じます。きっともともとの著者のフランス語がぶっ飛んでるんだろうと思うのですが、文学者ではなく経済などの社会科学を専門とする方に翻訳してもらった方がよかったんじゃないかという気がします。

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同性婚 私たち弁護士夫夫です

同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です
南和行 (著)
祥伝社 (2015/7/2)

同性パートナーとともに弁護士をしている著者による分かりやすい同性婚論です。

結婚や家族とはどういうものなのか、婚姻というものは法律ではどう定義されどういう効果を持つのか。そこに同性婚が認められない現状は何を意味するのか。=特定の性指向を法律上差別することは許されないし、多くの人達の社会生活を困難におとしめている、ということをきちんと説明している。

日本において同性婚を認めるにはどのようにすればいいのか。憲法との関係は。こうした主な論点について分かりやすい説明をしてくれている良書だと思います。

と同時に、著者が自身がゲイであると気づき、それを家族や周囲にカミングアウトし、理解されるまでの苦労のプロセスには心打たれるものがあります。オススメ。

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Kazuhiro Terada

Author:Kazuhiro Terada
東京在住。デンマーク・コペンハーゲンにも住んだことあり。

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